フリマアプリやネットオークションでは商品を「新品」か「中古品」の状態で出品しますが、その2つとは別に「ジャンク(ジャンク品)」という概念も存在します。
ジャンク品は、魅力たっぷりの「お宝」にも無価値同然の「ゴミ」にもなり得る可能性を秘めています。
今回は、そんな両極端な価値をもつジャンクの定義や、取引相手とのトラブルを防ぎつつフリマアプリやネットオークションでジャンク品を出品・購入する方法についてをご紹介します。
そもそも「ジャンク」とは?/ジャンクの意味・定義を知っておこう
ジャンクという言葉を初めて聞いた方も、なんとなく知識がある方も、ここではまずWikipediaでのジャンク(ジャンク品)の定義を確認してみましょう。
ジャンク品(ジャンクひん、英語:Junk、故障品と同義)とは、そのまま使える見込みがないほど故障損耗し、本来の製品としての利用価値を失っている品物。
引用:Wikipedia ジャンク品 より
Wikipediaでの定義は一般的なジャンクのイメージとも合っていて、非常にわかりやすいです。
しかし、フリマアプリやネットオークションにおけるジャンク品は、定義に幅があり、商品の状態や破損度合いにもかなりの差が存在します。
例えば「精密機械のジャンク品」をいくつか比べてみても、下記のように違いが存在します。
- 商品が一切動作せず、完全に故障している状態
- 商品の一部のみが故障している状態(正常に動作するパーツもある)
- 商品の動作に問題はないが、傷・汚れなどの著しい破損が見られる状態
そのままでは使えない状態の物もあれば、かろうじて利用可能な状態の物も存在しますが、いずれもジャンク品です。
加えて、この後の項目で詳しく解説しますが、「動作するのか故障しているのかも不明な状態」の商品も「ジャンク扱い」として出品されることもあります。
ここではひとまず、「正常動作品と同じ扱いをするにはあまりに酷い状態=ジャンク」と覚えておきましょう。
ジャンク品は安価になりやすい&精密機械に多く存在する
ジャンク品は、あまりに商品としてのデメリットが多すぎるためか、出品される際は価格が安くなる傾向があります。
これはフリマアプリやネットオークションだけの話でなく、商品売買の世界でも、ある意味で常識として広まっています。
たとえば……
- Nintendo SwitchやPlayStation4などのゲーム機
- パソコン本体やCPU・マザーボードなどのPCパーツ
- テレビ、モニター
- カメラ
- エレキギターやキーボードなどの楽器全般
- プラモデル
- スポーツ用品
などは、フリマアプリやネットオークションでジャンクを目にすることが多いカテゴリです。
特に精密機械は、ちゃんと使用できる状態が利用価値に直結するため、ジャンクで出品されることが多い印象です。
安価だけどリスクのある「ジャンク品」はなぜ売れるのか?/購入者を魅了する理由3つ
ジャンク品のことを大まかに解説しましたが、「ジャンク品を購入する人なんているの?」「故障品や詳細不明の商品でも本当に売れるの?」と思われた方もいらっしゃるかと思います。
今のところジャンクの悪いイメージしかお伝えできていませんが、それでも「あえてジャンク品を購入する人」は少なからず存在します。
そもそも、購入者が難ありのジャンク品をわざわざ買うのにも理由があり、主な理由は下記の3つです。
- 修理や部品取りのため
- 動作品の可能性を期待しているため
- 生産終了品や希少品のため
一つずつチェックしていきましょう。
ジャンク品が売れる理由①:修理や部品取りのため
たとえジャンク品だとしても、修理や部品取りができる可能性が残されていれば、利用価値も充分にあります。
- まだ使えそうなパーツを組み合わせて、新たな正常動作品を1つ作り上げる
- 完全に故障しているジャンク品を、自分の技術向上のために修理をする
- 修理が無理だとしても、まだ使えそうなパーツだけを集めて保管したり出品したりする
といった目的が購入者にはあります。
商品がたとえ壊れていても、人によっては価値のある商品になり得るため、ゴミとして処分する前にジャンク品として一度出品してみましょう。ちょっとしたお小遣いになるかもしれません。
ジャンク品が売れる理由②:動作品の可能性を期待しているため
同じジャンクでも、出品者側の都合でジャンク品扱いとなっているだけの場合もあります。
そうしたジャンク扱いの商品は、新品同様に綺麗な状態だったり、動作に全く問題がないことも意外と珍しくありません。
目利きが得意な方は、数あるジャンク品の中から「相場よりも安価な正常動作品」を探し出してお得に購入しています。
相場5万円の家電製品を、動作に問題がないジャンク品として2万円で購入できる……と考えると、非常に魅力的ですよね?
とはいえ、商品知識だけでなく経験や勘、時には運なども必要になるため、購入者にとってはハイリスクであることには変わりありません。
ジャンク品が売れる理由③:生産終了品や希少品のため
生産がすでに終了している商品だったり、市場にも滅多に出回らない希少品(レア物)の場合は、購入者にとってはジャンクであっても非常に価値のある商品です。
年代物のおもちゃやレトロ家電、アンティーク商品などをコレクションしている方にとっては、「商品を使用すること」にも魅力を感じますが、「商品が現存していること」にも価値を見出します。
馴染みがなくあまりピンと来ない方もいらっしゃるかもしれませんが、今を逃すと一生手に入らない貴重な品物であれば、たとえ壊れていてもお金を出して買いたい!という人がいる、ということです。
出品者がジャンク品を出品する3つのパターンをチェックしよう
ジャンク品が売れる理由を確認したところで、次はジャンク品が出品されるパターンをチェックしておきましょう。
ジャンク品は、フリマアプリやネットオークションではもちろん、中古ショップのジャンクコーナー、秋葉原のジャンク通りの店舗など様々な場所で売られています。
それぞれの出品者によってジャンクの定義や意味合いが若干異なるものの、下記3パターンのうちのいずれかで出品されます。
- 故障品・動作不良品
- 動作確認が行えず、動作する保証もない状態
- 商品に関する知識が全くなく、返品・返金も受け付けない状況
一つずつチェックしていきましょう。
①故障品・動作不良品
故障や動作不良の状態にあり、利用価値のない商品をジャンクとして出品するパターンです。
商品を「ジャンク」として出品する場合は主にこの状態のことを指していて、Wikipediaの定義でも確認したように、ジャンクの元々の意味としても当てはまります。
明らかに商品自体に問題があるため、3パターンの中でも、購入者側もジャンクと認識しやすいです。
②動作確認が行えず、動作する保証もない状態
故障品や動作不良品と言い切れない商品をジャンクとして出品するパターンです。
出品者側の事情によるものが大きく、その理由は「動作確認をする時間がない」「動作確認を行える設備が整っていない」など様々です。
いずれにせよ「製品として大きな問題は無さそうに見えるものの、念のためジャンクとして出品している」と捉えると良いでしょう。
この場合のジャンク品は、明確に動作品とも故障品とも言い切れないため、①の状態に比べると、修理すら不要でそのまま利用できる可能性があります。
とはいえ、やはり故障や動作不良がある可能性も充分に考えられます。
③商品に関する知識が全くなく、返品・返金も受け付けない状況
故障品・動作不良品かどうか以前に、商品自体の知識が一切ない場合にジャンク扱いとして出品するパターンです。
新品・中古品に関係なくジャンクとして出品され、特にメルカリ・PayPayフリマ・ラクマなどのフリマアプリで多く見られます。
というのも、フリマアプリでは「返品不可」「ノークレームノーリターン」など、商品に問題があった場合でも返品に応じないような文言の記載が禁止されています。
そのため、代替案として「何か問題があっても文句を言ったり、返品・返金申請しないでね」というニュアンスを込めて「ジャンク扱い」にする出品者もいます。
①や②の状態と比べると、商品についての詳細が一切把握できないため、明らかに購入者側のリスクが大きいパターンです。
ただし、正常動作品である可能性も①や②よりも期待できるため、掘り出し物に化ける可能性も高いです。
実際にジャンク品を出品&購入する際の注意点は?
ジャンク品について一通り学んだところで、実際にジャンク品を出品&購入する時に気をつけたいことをいくつか確認しましょう。
というのも、ジャンク品の取引にトラブルはつきもので、普段の出品・購入時よりも注意を払わなければなりません。
この項目で紹介する注意点をしっかり身につけて、返品や返金、商品到着後のクレーム、取引後の低評価などのトラブルを少しでも回避しましょう。
ジャンク品を出品する時の注意点3つ
ジャンク品を出品する際には、購入希望者に対して「出品する商品がジャンク品」ということをハッキリと伝えなければなりません。
伝え方はいくつか考えられますが、ここでは下記3つのポイントにまとめてみました。
- 「商品名」と「商品説明文」でジャンク品であることを明確に伝える
- ジャンク品として出品する「理由」を説明文と画像で伝える
- 「ジャンク品のため、良品をお求めの方は購入をお控えください」と記載する
どれも大切なことなので、しっかりとチェックしましょう。
「商品名」と「商品説明文」でジャンク品であることを明確に伝える
「商品名」と「商品説明文」に「ジャンク」としっかり書きましょう。これだけで、トラブルになる可能性がグッと低くなります。
ほとんどの購入希望者は、「商品名」と「商品説明文」を必ずチェックするため、この両方で「ジャンク」と示すことで、購入希望者も「ジャンク品」であることをしっかり認識できます。
一見すると当たり前のことに思えますが、書き忘れた場合は確実にトラブルにつながります。
ジャンク品の出品で最も基本的かつ重要なことですので、確実に記載しましょう。
ジャンク品として出品する「理由」を説明文・画像で伝える
商品を「ジャンク」として出品するからには、なんらかの理由が存在します。
そうした出品者しかわからない事情を、「説明文」や「画像」を使って購入希望者にもわかりやすく伝えましょう。
たとえば、説明文では……
- 「電源が入らず動作確認ができないため、ジャンクとして出品します」
- 「正常動作に必要なパーツが欠品しているジャンク品です」
- 「商品の詳細が全くわからないため、新品未開封ですがジャンク扱いで出品します」
というように、長すぎず短すぎない文量でわかりやすく伝えましょう。
ジャンクの理由が複数ある場合は、箇条書きで一つずつわかるように書くのも有効です。
加えて、説明文だけでは伝わりづらい部分を画像を使って視覚的に説明しましょう。
画像は制限枚数までフルに使い、商品をできる限り色々な角度から撮影しましょう。
壊れているジャンク品でも、外観の状態が気になる人はたくさんいます。
ジャンク品であることを納得してもらうために、説明文や画像を駆使して丁寧に説明しましょう。
「ジャンク品のため、良品をお求めの方は購入をお控えください」と記載する
「商品名」や「商品説明文」でジャンクと記載したとしても、良品と期待して購入する方も稀にいます。
そうした間違いを防ぐためにも、念には念を入れて「ジャンク品のため、良品をお求めの方は購入をお控えください」という旨の一文を加えておきましょう。
購入希望者に対して、商品が「一般的な中古品」ではなく「ジャンク品」と改めて認識させることができます。
加えて、ジャンク品と事前に説明済みであることも同時に示せるため、取引後の自衛の意味でも非常に重要な一文になります。
特に、返品不可やノークレームなどの文言が使えないフリマアプリでは、購入者とのトラブルを防いだり、穏便に解決する際の立派な手段となります。
ちょっとした一文ですが、トラブルに巻き込まれる可能性を低くすることができます。
ジャンク品を購入する時の注意点2つ
ジャンク品を購入する際には、普段以上にその商品についての情報を吟味すると思います。しかし、いざ購入する時に特別難しいことをするわけではなく、むしろ普段と全く変わりません。
では、どんなことに気をつければ良いかと言うと、あらかじめ「ジャンク品を購入する心構え」が必要です。
ここでは、その「心構え」の視点から、ジャンク品を購入する時の注意すべきポイント2つをまとめてみました。
- ジャンク品は「全く使用できない商品」という前提で購入する
- ジャンク品は「購入後の返品&返金は不可能」ということを理解する
文章にすると当たり前のことのように思えますが、特にフリマアプリでは、この2つが不足している購入希望者が非常に多いです。
ジャンク品を購入しようと少しでも考えている方は、どちらも必ず心得ておくべきポイントになります。
購入時の注意点①:「全く使用できない商品」という前提で購入する
ジャンク品は、まともに使用できないものと認識して購入しましょう。
「もしかしたら動くかも?」「欲しい部品は綺麗かも?」と期待して買ってはいけません。
ジャンク扱いで出品している場合にはまだ希望は残されていますが、出品者が「ジャンク」とわざわざ表記して出品するほどの意味や理由が確実に存在します。
自分の都合の良いように、商品画像や説明文を解釈することは絶対にやめましょう。
ちなみに私の場合は、「ガラクタやゴミとして捨てる物にちゃんとお金を払えるか?」と考えてから、覚悟を決めてジャンク品を購入しています。
購入時の注意点②:購入後の返品・返金・クレームは不可能ということを理解する
ジャンク品は最初から故障品・動作不良品のため、返品・返金・クレームを入れることはできません。
……と紹介すると、「えっ?どうして返品・返金が無理なの?」「クレームもダメなの?」という方と、「まあ、ジャンクだから当然だよね」という方に分かれると思います。
利用しているアプリやサイトが異なったり、経験の浅い利用者のためか、認識のギャップが生まれてしまうのも不思議ではありません。
そもそも「利用価値のない製品=ジャンク品」ということで出品されているものには、購入後のトラブルを避けるために、ジャンクの理由や根拠などが商品画像や説明文ではっきりと示されています。
加えて、「ジャンク品であることの理解を促す一文」も明記されているため、それでもジャンク品を購入するということは「製品をまともに使用できないことを了承した」と見なされます。
残念ながら「思っていたよりも状態が酷かった」「全く使えなかった」と購入後に言い出すこと自体が矛盾しているのです。
ジャンク品を購入したら、返品・返金申請やクレーム・取引キャンセルなどは一切不可能ということを、しっかりと覚えておきましょう。
ただし、出品者がジャンクや故障品であることを意図的に隠していた場合には、商品の状態と著しく異なるものが届いたとして、購入後でも返品・返金申請が可能です。
ジャンクについてまとめると……
- 「ジャンク」は「利用価値のない品物」のことを指す
- 出品者によって、ジャンクに対する「状態・程度の差」が存在する
- ジャンクの「理由」を詳しく説明して出品しよう
- 「捨てる物・無価値のものにお金を出す」という心構えでジャンク品を購入しよう
ジャンク品の売買は、取引に慣れている人でも気をつかわざるを得ません。
普段よりもトラブル発生の可能性が高くなり、知識だけでなく経験も多分に求められるため、いつも以上に慎重に購入・出品しましょう。